「君の膵臓をたべたい」読了
珍しくしっかりと小説を読み終わった。
本屋さんで本の背表紙を見てどんな内容なのかを推察するのはとても好きで、
その日もゆっくり眺めていた。
珍しく文庫本以外のところを見ていると「映画化決定」と書かれた帯のついた一冊の本を見つけた。
それが「君の膵臓をたべたい」であった。
普段、本を買うときはタイトルと背表紙に書かれているあらすじを見てから判断するが、この本だけは帯とタイトルでついレジに持って行ってしまった。
とりあえず読んでみるか、と少し上からものを見るように読み始めた本は最初は意味深な感じからはじまった。
内容は文才がないため割愛させていただくが、簡単に言うと、命ということと、いかに自分が選択して動いているのかを改めて考えさせられるものであった。
普段の私は意気揚々と読み始めるが途中で放置してしまうのがデフォである。
しかし、登場人物が自担にあてはめられる!と感じた瞬間私の中のスイッチはonになるのだ。
脳内では自担にあてはめストーリーは進んでいく。
最後の瞬間まで主人公の名前は出てこない。
しかし時折名前を示唆する表現があったと最後になって気づく。そこでまた読み返したくなるのである。
うまくできているな、と一読者の身として感じた。
後になって気づいたが、いつの間にか自分の話のように入り込んでしまったようだった。
ただの一般ピープルでかつ、これといったスキルを持ち合わせていない学生であるが、恋愛くらいはしたことある。
どっちかというと一途なほうであると自負している。
まあそんな話は置いておいて...
好きな人。なんとも不思議な存在である。
でも、この小説はあくまで恋愛小説ではない。
二人の男女が出てくるのだが、そんな軽々しく男女とくくってしまっていいのか、と考えてしまうほど純潔な存在で、美しいものであった。
実際にこんなことが存在するのか、おそらくほぼない例であろう。
でも私は自分にあてはめた。
似たような存在の人が高校生のころいたから。
奇しくもこの小説も高校生のはなしで、とても共感していた。結末は違うが。
そう結末は私とは全く違っていた。
衝撃をうけた。最後のほうになるにつれてページをめくる手が止まらなかった。
涙が自然とあふれ出した。
胸糞悪く終わるわけではなかった。この小説としての良いエンドを迎えた。
読み終わった今、すっと気持ちは軽くなり、恋愛後のような感覚に襲われている。
次に進もう。そんな気持ちだ。
私の生活の中で大きな影響を与えるか、というと大げさではあるが、
少なくとも、自分の人間観というものは20度くらい変わった気がする。
ぜひいろんな人に薦めたいが、合う人がどれほどの人数いるのだろうか。
映画化が決定しているなら、わざわざ小説を読まなくとも...という意思の人はまわりにたくさんいると思う。
想像し創造する。この小説に至ってはこれが最も必要とされるスキルだ。
面白いと感じるか、感慨深いと感じるか、合わないと感じるか。
人それぞれだと思う。
読むか読まないか、選択してください。
選択したらまた人生がどこかで変わるかもしれないし、変わらないかもしれない。
それは後にならなきゃわからないけど、きっとその選択があなたを創っていくと思います。
一個人の感想だからこんな偉そうに言うのは間違っている。
でもとてもおすすめしたい作品であった。